ホスティングビジネスプランの作成
Highlights
はじめるにあたりミッションを打ち立てる
近所のリスティングをチェックしてヒントを得る
ホスティング目標を順調に進めるための予算を立てる
最初のゲストをお迎えする前に友達に滞在してもらい、フィードバックをもらう
アプリやスマートロックなどのテクノロジーを駆使してホスティングに役立てる
Sarah Roussos-Karakaianさんは夫Nickさんとチームで活躍中のスーパーホスト(@nestrs)。オハイオ州コロンバスでホスティングを本業として営んでいます。 2012年にニューヨークの地下室をAirbnbに掲載したのがきっかけでその魅力に惹かれ、 以来これを軸に夢のキャリアを実現しました。 Sarahさんはさらに、経験豊富なホストと新人ホストに役立つ情報を配信するポッドキャスト番組「Thanks for Visiting 」の共同ホストも務めています。 そんな夫妻が、Airbnbでビジネスを立ち上げるための情報とヒントを紹介します。
Sarahさん: 「最初にはじめたのは、まだふたりがニューヨークのクイーンズに住んでいた頃のことです。 当時は役者をしながら、 バーテンダーのバイトに明け暮れる毎日でした」
Nickさん:「僕は建築で修士号を取ったものの、インターンの駆け出しで、食べていくのさえやっと…」
Sarahさん:「マイホームを欲しいといくら思っても何から手をつけていいかわからなくて夢のまた夢。 そんなある日のことでした。ちいさな家が目に止まったんです。近所で一番ちいさな家。予算オーバーでしたけど、気に入って何がなんでも買うしかないと思いました」
Nickさん:「さっそく財務管理のことを猛勉強して貯金と親族からの援助をかき集めて住宅ローンを組みましたよ」
Sarahさん: 「ちょうどこのどたばたの最中に、アパートの一室をAirbnbに掲載してニューヨークの家賃の足しにしている友達の話を聞いて。あれは本当に衝撃でした。 当時はまだAirbnbも今ほど広くは知られていなかったんです。 お部屋を掲載するという方法もあるみたいと言ってもNickはあまり乗り気ではありませんでしたが、私はもう興味津々だったので、 ふたりで試してみることにしたんです。それがすべてのはじまりでした」
Nickさん:「トイレ掃除を楽しんでやっていたのを覚えています。 住宅ローンの支払いにつながることに感激して、 もっとできることはないか、と考えていました」
Sarahさん:「高級ホテルで働いていた経験が役に立ったので、とてもうれしかったです。 ニューヨークで4年間家を所有し、ホスティングを続けていたのですが、幸運なことに、あるデベロッパーから家具などすべて込みでこの家を買い取りたいという申し出を受けました」
Nickさん:「自分と向き合う時間を取って、次に行く場所をまとめた長いスプレッドシートをつくりました。そして国内を車で旅しながら地元の人と話したりして、最終的にオハイオ州コロンバスにたどり着きました」
Sarahさん:「デザイン、ホスピタリティ、不動産を融合し、自分で自由に創意工夫できるのがまるで夢のようです。 だからこそ、ほかの人にもホスティングのコツを教えたいと思います」
1. まずはミッションを打ち立てる
Sarahさん:「はじめる前に、まずは自分に課すミッションを打ち立てることをおすすめします。 精神的基盤となり、進むべき方向や意思決定に迷ったときに導いてくれる北極星のような役割を果たします。 ミッションを打ち立てておけば、正しい方向に進んでいるかいつでも確認することができます。 また、お部屋のテーマやデザインの方向性を決めるのにも役立ちます」
Nickさん:「ミッションを打ち立てるとき、少し時間をとって次のことを自分に問いかけてください。
- 自身にとって動機となるものは?
- 自分の価値観は?
- どのように運営したいか?
- 将来のビジョンは?
- 目標は?」
Sarahさん:「私たちのミッションは、滞在する人の生き方を変えるような場所をつくることです。 そのことを常に思い返すようにしています」
2. 市場を調査する
Nickさん:「はじめる前に、しっかり調査を行い、地域にあるほかのリスティングの状況を把握することが大切です。 この初期調査をもとに、自分自身のお部屋のデザイン、ブランディング、マーケティングの方向性を決めます。
- 地域の人口統計を考慮しましょう。どのような方々からの予約が予想されますか? たとえば、私たちの場合、コロンバスは大学の町なので、学生の両親が宿泊する想定で部屋を提供しています。
- アメニティ・設備をチェックしましょう。ペットOKですか? 駐車場やプールはありますか? お部屋のデザインにこだわっていますか? 少しでもお部屋の価値を高める要素があれば、料金を引き上げてもよいかもしれません。
- オンラインで検索して、地域のほかのAirbnbリスティングやホテル、短期宿泊施設を見てみましょう。 どういったものを提供していますか? 宿泊料金はいくらですか? ほかと差別化できる点はありますか?
- 価格設定の戦略をたてましょう。まだはじめたばかりの方は、予約率を上げるために、Airbnbのスマートプライシングツールを使用しましょう。平日と週末で料金を自動的に変えることができます」
3. 収益を考えて料金を設定する
Sarahさん:「予算計画と聞くと、少し面倒と思ってしまうかもしれませんが、とても大切なことです。 スプレッドシートを使って、コストを3つのカテゴリに分類することをおすすめします。
初期費用:改装費や装飾、家具、写真など、ゲストを迎える前にお部屋にかける最初の費用です。
- 装飾はよく考えて投資しましょう。 高級店から購入したり、贅沢品をそろえる必要はありません。 居心地よくできれば十分です。 リサイクルショップで探したり、色やテーマで工夫を凝らしこだわりを見せましょう。リスティングで目を引くのはそういったところです。
- ホストをはじめたばかりの方には、気持ちいいマットレスやソファー、シーツ類にお金をかけることをいつもおすすめしています。 誰しもがホテルの客室に到着したら、まずベッドに飛び込みます。必ずいいものを準備しておきましょう。 ベッド1つで5つ星のレビューにつながることもありますので、予約率を上げるのにも役立ちます。
運営費:洗面用具やトイレットペーパー、ペーパータオル、電池、電球など、ゲストが使用する補充が必要な消耗品です。
- 水のボトルやコーヒーなども提供していますか?
- 必要なアメニティ・設備をすべてリストにまとめて、納得のいく費用に収まっているかを確認しましょう
- 6ヶ月ごとにまとめて購入し、スプレッドシートで数量を記録しましょう
- シーツ類のようなアイテムについては、1年の間に何回購入するか決めておきましょう。 ゲストが泊まるときは必ず清潔なシーツを用意する必要があります。
メンテナンス・管理コスト:芝生や屋外スペースの管理など、安全で心温まる、快適な環境を維持するために必要な全費用です。 宿泊間の準備作業を手伝ってもらうために清掃係あるいは補助ホストを雇う予定はありますか?
上記費用を合算して、投資額と目標が現実的なものとなっているか確認しましょう。 なっていない場合は、自慢のお部屋とするために、もう少しお金を貯める必要があるかもしれません」
4. ゲストの立場に立って考える
Sarahさん「私がよくホストの方々にアドバイスするのは、正直な感想を言ってくれる気のおけない友達にお部屋に泊まってもらうことです。 毎日見慣れた環境では、旅行者が必要とするもの(歯ブラシや歯磨きなど)やデザインの欠陥を見落としてしまうこともあります。 こうした目につかない重要な詳細を知る面で、友達の意見は役立ちます。 有料のゲストに指摘されてからでは遅いので予防におすすめです」
Nickさん:「お部屋には『お持ちになるのを忘れてしまいましたか?』という バスケットを用意して、ゲストが出がけに忘れてしまいがちな洗面用具などの小物をまとめておきます。 おもてなしの思いを中心に据えることを常に意識していかないと、ビジネスの成功は望めないですから。 好みのブランドでホテルを選ぶのは、どこまで期待できるかある程度見当がつくからにほかなりません。まるで初めての泊まり客のような気分に浸れる客室、きれいに折り畳まれたタオルがあって、ベッドサイドテーブルの脇には携帯電話充電器があるといった細かい部分まですべて頼れる安心感。 ゲストにはそのようなホテルと同じレベルのサービスを提供して、リピーターになってもらうよう努力しましょう」
5. 自動化する
Nickさん:「ホスティングは難しいですが、Airbnbが最初にできたときからはかなり状況が変わりました。 手続きを整理するためのテクノロジーやツール、リソース、サポートが増え、ホスティングも少し楽になりました」
Sarahさん:「ホストになったばかりのときは、はじめの予約メッセージからゲストへの挨拶、清掃、次の宿泊の準備まで、各宿泊の最初から最後までのプロセスをとおしてやってみることをおすすめします。 ノウハウがひととおり学べたら、次のような方法で自動化することができます。
- オンラインアプリ:イベントトリガーをプログラムし、デジタルツールをつなげるためのアプリ(IFTTTなど)があります。 たとえば、受信トレイに予約確認メールが届いたときに、ご自身やパートナー、清掃係のカレンダーに自動的にリマインダーを設定するようにできます。
- スマートロックでチェックイン方法が一気に変わります。ゲストに旅行期間中にのみ使える一意のコードを送れば、 ゲスト自身でチェックインできるようになり、アパートで出迎えるために時間を調整する必要がありません。 滞在の途中に連絡を取るだけで済みます。
- 昔ながらのリスト:各リスティングごとに定期確認が必要な事項のチェックリストをつくっています。確認項目は、安全・メンテナンスのために必要なこと、給湯器フィルターの確認、火災警報器の電池の動作確認、ベッドの下の掃除などさまざまです。 リストは印刷してクローゼットの中に貼っているので、リスティングを訪問するときに、その年の状況を確認することができます」
Nickさん:「Airbnbでビジネスを起業するためには大変な努力が必要です。 でも私たちを見て、夢のマイホームを手にしてこれをフルタイムの仕事にすることは十分可能だし、実現の道はいくらでもあると知ってもらえたらうれしいですね」
Sarahさん:「キャリアの方向転換は勇気が要りますよね。私も役者の仕事が本当に好きだったので、もうこれ以上好きな仕事には二度と出会えないと思って不安でした。 だけどAirbnbに出会えて、ふたりの人生は思いもよらない方向に動きはじめたんです。 ふたりで工夫して物事を選べるし、上司もいない毎日はそれだけでとてもすてきなことに思えますね」
Nickさん:「今はふたりとも融通が利くので、もう少し余裕をもって暮らしを楽しめるようになりました。 Airbnbで起業する方法を見つけて、ぜひみなさんにもこの暮らしを味わってみて欲しいです。 アドバイスが必要なときには気軽に声をかけてくださいね」
楽しいホスティングを!
NickさんとSarahさん、Nestrs社
Highlights
はじめるにあたりミッションを打ち立てる
近所のリスティングをチェックしてヒントを得る
ホスティング目標を順調に進めるための予算を立てる
最初のゲストをお迎えする前に友達に滞在してもらい、フィードバックをもらう
アプリやスマートロックなどのテクノロジーを駆使してホスティングに役立てる